ANAとJAL、ステータス構造の違いを徹底図解
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ANAプラチナを取得後、JALサファイア獲得を目指して飛行機に乗る修行を続けていますが、JALステータスの構造が非常に難解であることに今更ながら気づきましたので、まとめてみました。
分かりやすいANAのステータス構造とSFC獲得の動機
こちらは公式の説明図ですが、ANAのステータスは非常に分かりやすい構造です。
一般会員から始まり、ANAやスターアライアンスでの搭乗を重ね、ステータス専用のポイントであるプレミアムポイント(PP)を獲得するごとにステータスがブロンズ(30,000PP)、プラチナ(50,000PP)、ダイヤモンド(100,000PP)と上がって行きます。
プレミアムポイントについてはこちらをご参照ください。
ANAブロンズは加盟するスターアライアンスのシルバー資格でもあり、スターアライアンスに搭乗する際にも共通してメリットを受けることができます。(実際、ブロンズのメリットはあまりないです)
ANAプラチナとANAダイヤモンドはスターアライアンスのゴールド資格でもありますので、スターアライアンス搭乗時に、グレードの高いメリットを受けることができます。こちらがいわゆる「上級会員」であり、ビジネスクラスラウンジや、優先的なチェックイン等のメリットを受けることができます。
どちらも有効期限はステータス対象である1年間です(要件を満たせば事前資格保有のメリットを受けることも可能)
また、多くの人がANAプラチナ以上を目指す理由として「スーパーフライヤーズカード(SFC)」の存在があります。
SFCはANAプラチナ・ANAダイヤモンドのステータスの時にのみ加入できるクレジットカードで、「スターアライアンス ゴールド」の資格を持っています。上級会員ステータスは有効期限が1年しかありませんので、翌年にはその資格を失ってしまいます。しかし、SFCはクレジットカードであるため、年会費を払えば「スターアライアンスゴールド」の資格を維持できるのです。
一生に一度だけ上級会員ステータスを獲得すれば、後は年会費でそのステータスを維持できるため、多くの方がいわゆる「修行」を一年かけて行っています。
ポイントは「SFCはスターアライアンスゴールド資格である」ということです。このおかげで、ANAプラチナに準じるステータスを維持することができます。もちろんスターアライアンス便搭乗時は共通したメリットを受けられます。対してANA便搭乗時はANAプラチナと比較して、国内線で2週間の先行予約が無かったり、予約可能な座席範囲がやや狭い等、少しだけメリットが小さくなるよう設定されています。
ANAステータスを図解
冒頭の公式の説明図とほぼ同じ図になりました。非常に分かりやすいですね。左下、一般のANAマイレージカード会員(AMC)から出発し、プレミアムポイントを獲得するほど右に進みます。ANAとしてのステータスを獲得しつつ、上部に表示しているスターアライアンスのステータスも獲得して行く構造です。なお、スターアライアンスゴールドの枠の中にスーパーフライヤーズカード(SFC)があります。プラチナやダイヤモンドの資格を失っても、クレジットカードの更新だけでステータスを維持可能なSFCがあるから皆さん頑張るわけです。
搭乗を重ねてプレミアムポイントを獲得し、プラチナ、ダイヤモンドと獲得していきたいと思わせますよね。
JAL公式のステータス構造図と「JMB」「JGC」の違い
JALもANAと同様、ステータスを獲得するためには専用のポイントであるFOPポイントを獲得する必要があります。ANAとは異なり、30回、50回と言った年間の搭乗回数でもステータスを獲得することはできます。
JALのステータス獲得に関してはこちらをご参照。
JALのステータスはFOPを獲得するごとにどのように変化していくのでしょうか。
こちらがJAL公式のステータスを表した図なのですが、何を言ってるのかさっぱり分かからないんです。そもそも、なぜ「JMBサファイア」と「JGCサファイア」なるステータスが存在するのか、そして、SFCのように上級会員資格のJGCに、上級会員ではない「クリスタル」をつけた「JGCクリスタル」なるステータスがあるという謎。JGCクリスタルは果たして上級会員なのか。分からないことだらけです。
そもそも、私はこれまでANAプラチナのように、JALのサファイア資格を表現するのに「JALサファイア」という言葉を使ってきましたが、果たしてそんな言葉はあるのでしょうか。
googleに聞いてみると、ちゃんと出て来ます。259,000件ヒットしました。JAL公式ページが最上段に表示されていますので、やはり一般的に使われている言葉なんですね。
念のため、「JMBサファイア」と「JGCサファイア」も調べてみます。
「JMBサファイア」は38,000件、JAL公式ページの言葉を抽出しています。
「JGCサファイア」は33,800件。「JMBサファイア」といい勝負です。
ということは、公式には存在しない「JALサファイア」が最も市民権を得ていることになります。私が無意識のうちに使っていたのもあながち誤りではなかったということですね。
しかし、この現象を改めて考えてみると、JALのサファイアステータスにはJMBサファイアとJGCサファイアがあるものの、一般的にそれを区別することなく「JALサファイア」という一つの言葉で語られていることが分かります。実在している、この二つのステータスの違いはどこにあるのでしょうか。JALのステータス構造から確認してみましょう。
JALステータスの構造
出来る限りシンプルにまとめるよう努めたのですが、これが精一杯でした。
これでもまだ分かりにくいため、文章で補足します。
最下段左端が出発点、JALマイレージバンク(JMB)の一般会員です。JAL便やワンワールドの飛行機に搭乗してFLY ONポイント(FOP)を獲得するほど右のJMBクリスタル、JMBサファイア、JMBダイヤモンドと昇格して行きます。
(私のように搭乗回数を30回、50回と重ねても昇格できます。)
そしてJMBサファイアになると、突然上部ステータスへの扉が開かれます。これが「JGC: JAL Global Club」という別の組織への入会資格です(赤枠部分)。JGCへ入会するには、「JGCカード」を申請する必要があります。JGCカードはJMBサファイアステータス以上の時にしか申し込むことが出来ません。
つまり、上級会員を目指してコツコツ頑張っている時やサファイアになった時はJMBのままで、JGC入会資格を得て申請が承認されると(JGCカードを入手すると)、JGCサファイアやJGCダイヤモンドへチェンジすることができるのです。
このように同じサファイアでも、冠としてJMBが付く場合とJGCが付く場合の2種類が存在しているため、JALのステータスはとても分かりにくくなっています。
更にこの二層構造にワンワールドの共通ステータスも絡んでくるため、非常に複雑です。
ちなみにJGCサファイア獲得後、飛行機に乗らなかった場合はどうなるでしょう。
JGCに入会後、飛行機に乗らずFOPの積算が無い場合、翌年は平のJGC(JGC○○が無い状態)に降格となります。しかしANAのSFCのようにJGCカードを持っている以上、JGCには所属していますので、ワンワールドのサファイアステータス、そしてJALのサファイアに準ずるステータスを年会費を払うことで維持することができます。
JGCクリスタルとは何か
冒頭のJGCクリスタルとはどんなステータスなのでしょう。
そもそもJMBクリスタルの時には、JGCに入会することができません。にも関わらず、JGCクリスタルというステータスが存在するのは、このようなケースがあるためです。
JMBサファイアを獲得しJGCに入会後、飛行機の搭乗回数が減り、FOPの積算が少なく、30,000FOPしか獲得できなかった場合、翌年はJGCクリスタルに降格となります。
しかし、平JGC同様、JGCクリスタルは腐ってもJGC。ワンワールドのサファイアステータス、JALサファイアに準じるステータス、つまり上級会員を維持できます。
一方、JGCに入れないJMBクリスタルのままだと、ワンワールド資格も上級会員ではないルビーに留まりますので、JGCクリスタルと比較すると、ラウンジが使えない等、大きなギャップがあります。表記上の少しの違いが大きな差を持っているのです。
JMBサファイアとJGCサファイアの違い
では、JMBサファイアとJGCサファイアの違いとは何でしょう。
JGC サファイア |
JMB サファイア |
|
予約に関するサービス | ||
専用予約デスク | ○ | ○ |
ご予約時の優先キャンセル待ち | ○ | ○ |
国内線前方座席指定サービス | ○ | × |
国際線前方座席指定サービス | ○ | ○ |
国内線先行予約サービス | - | - |
国内線特典航空券先行予約サービス | - | - |
搭乗時のサービス | ||
専用カウンターでのチェックイン | ○ | ○ |
空港での優先空席待ち | ○ | ○ |
受託手荷物無料許容量のご優待 | 国内線:20kg 国際線:+1個 |
国内線:20kg 国際線:+1個 |
ダイヤモンド・JGCプレミア 専用保安検査場 |
- | - |
JALグローバルクラブ エントランス | ○ | ○ |
ファストセキュリティレーン | ○ | ○ |
「JALファーストクラスラウンジ」 の利用 |
- | - |
「ダイヤモンド・プレミアラウンジ」 の利用 |
- | - |
カードのご提示によるラウンジの 利用(サクララウンジ等) |
○ | ○ |
国際線の優先搭乗 | ○ | ○ |
国内線の優先搭乗 | ○ | ○ |
プライオリティバッゲージサービス | ○ | ○ |
ボーナスマイル | ||
マイルUPボーナス [JAL、AA/US] |
105% | 105% |
マイルUPボーナス[BA] | 100% | 100% |
そのほかのサービス | ||
ダイヤモンド特典航空券 | - | - |
マイル有効期限の廃止 | - | - |
JAL国際線機内販売事前予約 | - | - |
パイロット体験 航空教室 | - | - |
JALとっておきの逸品 限定商品 | ○ | ○ |
新羅免税店でのご優待 | ○ | ○ |
サービスセレクション | - | - |
①JGCサファイアは国内線前方座席指定サービスが使える
②JGCサファイアはJGCカード(クレジットカード)がなければ入会できないため、入会後、家族カードを申請して利用者を増やすことができる。
実は、たったこれくらいです。こんなに複雑で仰々しく話しておきながら、実際のメリットの差は僅かです。
JGCプレミアの存在
さらに複雑にしているのがJGCプレミア、図の黄色い部分の存在です。
JMBのままだと50,000~100,000FOPまでがJMBサファイアであるのに対し、80,000FOP~100,000FOPの間にJGCへ入会すると「JGCプレミア」という特殊ステータスになることができます。これは80回の搭乗でも達成可能です。このステータスはワンワールドのエメラルドステータスであるため、ワンワールドの最上級会員資格となります。
JMBのままだとJMBサファイアなので、ワンワールドでもサファイアクラスのままなのですが、JGCに入会することでエメラルドにアップグレードできます。これはかなり大きな差です。エメラルドになると、ワンワールド系列のファーストクラスラウンジを使うことができます。JALに限ってもサクララウンジではなく、ダイヤモンドプレミアラウンジを使うことができますし、専用デスクも一つグレードが上がります。
これはANAには無い素晴らしいステータスですね。こういうのがあると、80,000FOP/80回まで頑張ってみたくなります。
まとめ
- ANAもJALもステータス用のポイントを年間50,000pt以上獲得すると、上級会員になることができる。(JALは50回搭乗/年も可)
- ANAもJALもステータス用ポイントを50,000pt以上獲得しないと手に入れることのできないクレジットカード=ANAはSFC、JALはJGCカードがある。
- SFCは「スーパーフライヤーズカード」の略なので取得(保有)するもの。
- JGCは「JALグローバルクラブ」の略なので入会するもの。
- SFCもJGCカードも、持っていることが、SFC:スターアライアンスゴールド、JGCカード:ワンワールドサファイアという航空アライアンスの上級会員ステータスを意味する。
- SFCやJGCカードを持っているだけで、空港での待ち時間短縮やビジネスラウンジの利用などの大きなメリットを享受することができる。
- SFCとJGCカードはクレジットカードの手数料、約10,000円/年程度で維持することが可能。
JALのJGCサファイアとANAプラチナのメリットについてはこちらをご参照。
JALのステータス体系がこんなに複雑で難解だとは思いませんでした。分かったつもりで分かっておらず、何日もかけて図を描き直しました。
そして数日の時間を費やして分かったことは、ステータスの細かな違いまで分かっていなくても、大した問題ではない、ということです。
この記事を読んで下さった皆様、どうぞ時間を大切に。