イジェン火山 インドネシアの青い炎を吹く火山に驚嘆 インドネシア旅行記2016
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今回の旅のハイライトの一つ、青い炎の火山、Gunung Ijen(イジェン火山)へ行ってきました。
TBSのクレイジージャーニーで奇界遺産 佐藤健寿さんが訪れていた場所です。
バリから陸路でジャワ島東部へ
イジェン火山があるのはジャワ島東部。つまりバリ島を西へ向かい、船でジャワ島へ上陸します。港までの交通手段が思い浮かばなかったので、手っ取り早くバリ島からの移動とイジェン火山までを網羅したツアーを事前予約しました。一人US180ドルです。
まずは車でバリ島西端まで向かいます。これがなかなかの行程。
バリ島中心部を離れ、だんだんとイスラム化していくのを感じながら車は進みます。バリ中西部Tabananのあたりからバリ、ヒンドゥー色が薄くなり、中心部にはなかったモスクや、フードを被った女性の姿が見え始めました。
青々とした棚田が広がります。
きれいに実ってますね。長粒米。
棚田を抜けると海に出て、さらに森を抜けると、西端のGilimanuk(ギリマヌック)港へ到着しました。バリ島中心部から車で4時間ほどです。
ここからはフェリー。英語の出来るガイド、Marik(マリク)も来てくれました。
乗船用の紙に名前やパスポート番号等を記入して窓口へ渡します。
乗船チケットを見て驚愕。
大人6,000Rp(60円)??
ツアー代、ぼったくりすぎじゃなかろうか・・と一瞬思いました。
出航です。バリとお別れ。ジャワ島との海峡に多くの船が往来しています。
バリ西端のGilimanukから向かい側のジャワ島Banyuwangi(バニュワンギ)までたった数Kmの距離。20分ほどで到着しそうな距離ですが、Marikいわく到着まで1時間半はかかるといいます。
聞くとジャワ側の港で船が順番待ちしているので、到着しても接岸できないとのこと。
流石はインドネシア。海の上もカオスに渋滞です。
船内ではなぜかカラオケを爆音で流されました。Bruno Marsがやたらと人気でした。
時間がかかるのでみんな寝てます。
13:00頃、ガイドのMarikが言うように1時間強かけて、ようやくジャワ島、Banyuwangiの港に到着です。
ツアーの拠点、Banyuwangiのホテルへ
Banyuwangi(バニュワンギ)の町のホテルへ移動します。どんなホテルかドキドキしていましたが、意外といい宿。Ketapang Indah Hotelに宿泊しました。
ツアー客のほとんどが欧米人とのことでしたので、彼ら向けの対応ですね。一安心です。
Bokking.comのURLはこちら
http://www.booking.com/hotel/id/ketapang-indah.id.html
ハイシーズンだったので一泊6,000円ほどでしょうか。
到着早々、謎のウェルカムドリンク、甘いお茶でお出迎え。
宿泊した客室棟。
コテージもあります。
気持ちのいい庭。
欧米系の観光客がイジェン火山ツアー以外にもこのあたりの拠点にしているようです。
とりあえず昼食を食べにホテルのレストランへ。
光の差し込む店内。
バリと比べると食事の価格が急激に安くなりました。(1食400円程度)
最高です。
インドネシア人がなかなか食べないカレーを注文。
デザートはNanas Goreng(揚げパイナップル)とアイスクリーム
ついでにジュースも頂きました。
出発は深夜1時なので、ガイドと別れ、部屋で睡眠をとります。
火山へ出発
12時に起床し、装備を整えます。この日のためにガスマスクとヘッドライトを用意していました。
購入したのは以下のセット。
ガスマスク:重松製作所 防毒マスク GM76-sのMサイズとSサイズ(妻用)
フィルター:CA-104Sシリーズ吸収缶CA-104S/SO/HS
ヘッドライト:montbell パワーヘッドランプ
人生で初めてガスマスクについて勉強したのですが、代表的なメーカーは重松製作所や3M、興研など。どのメーカーもガスの毒性の強さに応じてフィルターが1個や2個取り付け可能なタイプを用意しています。しかし、カメラレンズのマウントのようにフィルター部分はメーカー専用の形になっており、選ぶ際は注意が必要です。また、メーカーのマスクの形によっても付けられるフィルターが異なる場合があるため、ここも要注意。
フィルターはガスの種類、例えばシンナーや金属粉等用途によって異なります。今回は火山なので硫化水素に対応したフィルターを選びました。
サイズは調整できますが女性はS、男性がM~Lがいいでしょうか。(重松製作所の場合)
フルフェイスタイプも迷いましたが、危ない時は水中用のゴーグルで代替することにしました。
注文はモノタロウやAmazon、楽天から可能です。
ちなみに、現地でのレンタルも可能で、参加者の多くがレンタルしていますが、ガイドたちはガスマスクの構造、フィルターの有効期限等、必要な知識を持ち合わせていません。とりあえず、つけておけば大丈夫だと思っています。
ガスマスクについては現地では借りずに、ご自分で用意の上、持参されることをオススメします。
深夜1:00にホテルを出発。
2:15、登山口のパーキングスペースに到着です。
山に入ると急に気温が下がります。10℃くらいでしょうか。寒い。
常夏の島に急に冬が来てしまいました。
マウンテンパーカーである程度はしのげますがじっとしていると凍えてきます。
登山の注意書き。
寒いのですぐさま出発しましたが、少し歩くと今度は途端に汗がでてきました。
体温調節が難しいです。
私たちの周りには欧米人の団体客がひしめいていました。ガイドのマリクに聞くと、このツアーの参加者は殆ど欧米人で30人編成のツアーもちらほら。ホテルで主催しているようです。ガイドも100人以上存在し、年々増えているとのこと。
日本では殆ど無名ですが・・
この日、実際に日本人には会いませんでした。
3:05、休憩ポイントに到着。更に登ります。
3:30、イジェン火山の山頂部(クレーター)へ到着です。
ここからは火口まで急斜面を30分ほど下りて行きます。
2時間ほどでイジェン火山の山頂付近に到着。ここから一気に火口まで降ります。
ここから段々と硫黄の香りがしてきます。温泉で感じるあのにおいです。
そして、不思議な光景が見えてきました。
ファイナルファンタジー7の魔光炉を彷彿とさせる不思議な色の世界が遠くに見えます!
ブルーファイアに到着!
不気味な青い炎が煙をあげながら輝いています。あたりは硫黄の匂いで充満し、風向きが変わると煙が一気に襲ってきます。
この世のものとは思えない凄まじい光景です。
実はこの地点でようやくガスマスクを装備しました。
折角ガスマスクを持っていたにも関わらず、息苦しかったので首からぶら下げたままでした。風向きが変わり、煙が流れると息が苦しくなり、むせ返ってしまいました。目も煙の直撃を受け激痛が走ります。炎から距離を置くかゴーグルをつけなければとても耐えられる環境ではありません。
なお煙の直撃を受けた服はしばらく硫黄のにおいが消えませんのでご注意下さい。
パイプの脇から青い炎が噴き出します。
炎が噴き出る地点の足元には青い炎が沸き立つ液体が流れています。おそらく溶岩でしょう。
本当に不思議な光景です。
明るくなると全貌が分かり始めます。
左下の黄色い部分は硫黄の塊、その右側の山から青い炎と煙が噴き出しています。
硫黄の炎色反応です。先ほどの溶岩にも硫黄が含まれているようです。
火口近くでは鉱夫たちが着の身着のままで硫黄の結晶を採掘しています。ガスマスクなんてしていません。作業場のすぐそばから硫黄ガスが吹き出し、青く光っています。
しかし気にせず、黄色い硫黄の塊を掘り出します。ガスで咳き込みながらツルハシを打ち込む厳しい職場環境。
彼らは他に出来る仕事、街の仕事がないのだとガイドたちは言っていました。
採った硫黄は1,000Rp/Kg(10円)で化粧品会社等へ納めています。1回で持ち運べるのは約75Kg。1回750円の稼ぎ。しかし1日200Kg運んで2,000円の報酬があれば、インドネシアの田舎の給料としてはそう悪くありません。ジャカルタでも工場の最低賃金は月に24,000円ほどです。
しかしとてつもない重労働と過酷な作業環境。日本ではとてもじゃないですが許されません。
時刻は4:30、ブルーファイアを離れる時間です。この後、イジェン火山頂上へ戻り、サンライズを見る予定でした。
しかし、私はガイドに無理を言って、日の出は諦め、火口に留まって青い炎の撮影を30分ほど続けることにしました。後で山頂で合流することを約束し、妻とガイドは日の出を見るために山頂へ戻りました。
しかし、明るくなってくると撮影も難しく、また風向きも変わり炎も見えなくなったため、結局20分ほどで山頂部まで登ることにしました。
これを登って帰るのか・・
帰り道も鉱夫たちが硫黄をかついで登ります。
彼らの邪魔にならないよう慎重に歩きます。
30分ほどかけてようやく山頂へ戻ってきました。
明るくなると自分たちが写真を撮っていた炎の近くは、地面が黄色く変色していて、しかもその奥にはエメラルドグリーンの火口湖が広がっていたことに気づきました。
これもまた隠れた絶景です。蔵王のお釜を思い出しますね。
鉱夫たちは硫黄を背負って急斜面を登ります。かなりの重労働。
試しに持ってみましたがビクともしません。
火口のビューポイント。注意書きです。往路では暗くて見えていませんでした。
頂上付近で妻とマリクを待ちます。日が昇ってきました。
30分後、妻たちと合流。イジェンの隣りの火山の火口縁を進み、日の出を拝んだそうです。
下山は2時間程度。帰る道すがらには鉱夫たちが硫黄を加工したお土産を披露していました。ガイドのマリクは英語教師で彼らのために読み書き、文字を教えています。
陽気なマリク。いつも歌を歌っていました。ちなみにこの日は連続登頂の2日目。この日の夜も登ると言っていました。ハイシーズンの夏はほぼ毎日のようにガイドの仕事があるようで、イジェンは彼にとって庭のようなものです。
ちなみに彼はUshin(ウシン)族。この地域の民族でUshin語も話せます。鉱夫や友人とはUshin語で話していました。
朝8時過ぎに登山口へ到着し、ホテルまで送ってもらいました。
イジェン火山ツアーに、持参すると便利だと思ったもの
- 軍手(頂上から火口湖まで急角度の岩壁を昇降します)
- ヘッドライト(道は真っ暗な上、狭くなっているポイントがあります)
- ガスマスク(硫黄の煙が直撃した場合、とても危険です)
- 水中メガネ(硫黄の煙が直撃した場合、目がかなり痛くなります)
- カメラ用三脚(夜間の撮影のため、三脚なしの撮影は困難です)
- マウンテンパーカーと長そでシャツ(風が防げれば大きな心配はいりません)
- ローカットのトレッキングシューズ(岩場はスニーカーでは少しきついです)
青い炎の撮影時間は30分程度とかなり短く、その日の風向きで煙の方向も変わり、撮影を阻害します。また、人が多いとフラッシュが焚かれたり、ガイドが強いライトを照らしたりしますので、撮影に集中したい場合、昼のうちに担当のガイドと相談し、少し早い時間(1:00ごろ)に登り始めるよう調整するのがいいと思います。登山の開始時間は自由ですので。
また、晴れの日を狙ったほうがいいので、乾季の5月~11月頃が狙い目だと思います。
私たちが使ったツアーはこちら。
ちょっと割高でした。しかしその分プライベートツアーでした。
「BLUE FIRE TOUR 2DAY1NIGHT」に含まれているもの
- ホテル~バリ西端の港までの移動(車)
- フェリー代(実際は60円程度ですが・・)
- ホテル代(食事は実費)
- イジェン火山登山口までの移動
- イジェン火山のガイド代
- ガスマスクレンタル代(持参した方がいいです)
- バリまでの復路(私たちはBanyuwangi空港に送ってもらいました)
このエージェンシーにはバリからの1Dayツアーもありますが、これはホテルなしでバリから一気にイジェンまで行って帰るコースです。体力に自信のある方はどうぞ。
今回はバリ島からの移動だったので、こちらを使いましたが、飛行機でBanyuwangi(バニュワンギ)まで行けば、各ホテルでツアーのアレンジが可能です。飛行機はスラバヤ経由になります。ツアーの当日参加も可能なようです。Banyuwangiからのツアー料金は大体US50ドル程度と聞きました。
但し、日によって同じホテルの宿泊客が一斉に参加するため、集団移動となり、行動が制限される可能性がありますのでご注意を。
現地ツアーは欧米人向けがメインのため、基本英語です。「Ijen Blue FIre」といったキーワードで検索すると事前に手配できるエージェンシーを見つけられます。
「Kawa Ijen」「Ijen Crater」というツアーもありますが、Kawaはクレーター、火口のこと。ツアーにBlue Fireという言葉が見当たらなければ、デイトリップで早朝スタートのトレッキングツアーの可能性があるので、事前確認した方がいいです。
朝、下山する際に、登ってくるツアー客とすれ違いましたので。
Blue Fireですが、お金に余裕のある方は意外なところでANAが日本からのツアーを組んでいますのでご参考まで。